神奈川・逗子斜面崩落1年 「責任の所在明らかに」遺族が区分所有者ら提訴へ

神奈川・逗子斜面崩落1年 「責任の所在明らかに」遺族が区分所有者ら提訴へ(カナロコ by 神奈川新聞) - Yahoo!ニュース

民有地の崖地の対策不足や管理責任が浮き彫りになった事故。これまでに、事故前日にマンション管理人が亀裂を発見していたことや、管理会社が亀裂の存在を行政に伝えていなかったことなどが明らかになっており、事故の兆候が見逃されたことに、悔しさを抱いている。

一年の節目に、提訴に踏み切ると決めた。区分所有者らに対し、管理に不備があって事故が起きれば過失がなくても賠償責任を負う「土地工作物責任」を問い、当時の管理人や管理会社側に対しては、安全対策を怠って事故が起きたとし、1億1800万円の損害が生じたと訴える。

 土地工作物責任は、民法 717条で

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

 と定められていて、「瑕疵」がある以上、故意過失を問わず責任を負うと解されています。それだけ、特に所有者に課せられた責任は重いということでしょう。所有による利益を得る以上、生じた損害も負担させるという発想に基づくものと考えられています。

本件事故が、瑕疵に基づくことはおそらく争いようがないので、マンションの区分所有者は、刑事事件については過失の有無が問題になって刑事責任まで問われるかどうかはなんとも言えませんが、民事については損害賠償責任を負う可能性が高いでしょう。

こうした危険性を抱えた不動産物件というのはかなりあるものと推測され、面倒だからといってただ放置すれば済むものではなく、思いがけない厳しい責任を問われる場合もあることは、占有、所有している者は認識し、必要な対策を講じる必要があると思います。