知床沈没争点は事故の予見可能性 釧路、運航会社社長公判

知床沈没争点は事故の予見可能性 釧路、運航会社社長公判(共同通信) - Yahoo!ニュース

公判では事故の予見可能性の有無が争点となる。  

桂田被告の弁護人によると、起訴内容を否認し、無罪を主張する方針。

初公判前にマスコミの取材を受ける関係で、提供された資料を読んでみたのですが、検察は、被告人が安全統括管理者、運航管理者という立場にあったことを重視し、そのような立場で尽くすべき義務(悪天候が十分に予想される以上、船の出発を取り止めさせることなど)を尽くさなかった過失責任を問おうとしているように読み取れます。

本件のような船舶遭難事故については同種の前例が見当たらないようですが、建物火災では防火管理者の責任が重視され過失責任が認定されたケースは少なくないですし、検察は、法令により安全管理につき重い責任を負っている安全統括管理者、運航管理者の立場で、専門知識には欠けていても、一般的な常識に照らして事故防止のためできることはできた、それを怠った、という建付で臨んでいるのでしょう。

運輸安全委員会の報告書では、同種の遊覧船の実態として、悪天候が予想される際には途中で引き返すことを想定しつつ出港することがよく行われていたことが認定され、被告人、弁護人側も、実態として船長に出港可否の判断が大きく委ねられ、天候の状況により途中で引き返すことを想定した出港が直ちに違法とは言えない、といった主張をしてくる可能性はありそうです。

裁判所が、どのような過失を認定するか、あるいは過失は認定できないとするか、今後が注目されます。