神戸新聞NEXT|総合|尼崎JR脱線事故15年 亡き人との対面(中)「死亡」意味するトリアージのタグ
朝が来る。長男の名前が呼ばれ、夫と弟が顔を確認して検視が終わるのをロビーのベンチで待った。
体育館の裏口に寝台車が来た。棺を運び込む場に立ち会って、衣服が入った袋を受け取る。中に、黒い紙のようなものが見えた。
救助の優先順位を示すトリアージのタグだった。黒色が意味するのは「死亡」「助けられない」。
事故直後の様子が生々しく紹介され、当時、事故を知って、その後の報道にも接しながら、事故の重大さや死傷者の多さに慄然としたことが思い出されました。日本で、かつてはこのような列車事故があったものの安全対策が進み、もう起きないだろうという意識にとらわれていた、その中で起きただけに衝撃は大きかったという気がします。
刑事責任追及も、結局、不発に終わり、個人責任追及を基本とする日本の刑法の限界が露呈された事故でもありました。組織があるからこそ大きな活動ができ、かつ、個人の活動では生じ得ない危険も発生する、そこを、無理に個人責任に還元しないと追及できない現在の仕組みは、批判的に検討され改めるべきは改められるべきだと思います。
このような事故が再び起きないことを願いつつ、亡くなった方々のご冥福をお祈りし、傷害を負った方々にお見舞い申し上げたいと思います。