「全予測 2020年代の日本 図解・未来の年表」

 

全予測 2020年代の日本 図解・未来の年表

全予測 2020年代の日本 図解・未来の年表

  • 作者:河合 雅司
  • 発売日: 2020/03/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 著者の過去の著作を取りまとめ、2020年という、キリの良い今の時点に立って将来を鳥瞰する内容。この種の話は、断片的に読みがちで、きっちりと全体像をコンパクトに把握できる、良い本でした。
少子高齢化、特に少子化が、日本にとって致命傷になっていることが、具体的なデータとともに語られています。既に、新型コロナの前に崩壊したアベノミクスなるものが、単なる付け焼き刃の、目先のことしか考えていない対症療法で、末期がん患者にモルヒネを射っているようなものだったことがよくわかります。遅くとも21世紀初頭に、抜本的、大胆な少子化対策を打ち出しておくべきでした。
前に、私自身がFacebookでちょっと書いたことに似たことを、著者も提唱していましたので、Facebookで書いたことを、備忘も兼ねてここにも書き留めておきます。

経済面での日本は、よほど思い切ったことをやらないと、到底再生できない。
日本の各地に、香港のような一国二制度の拠点を作ってはどうか。北海道、東北、関東、中部、関西、中国、四国、九州の、既存の都市からは離れた、交通の便の良い場所に作る。当初は数万人程度の人口からスタートして、行く行くは200万人から300万人の規模まで拡大可能とする。既存の空港の近くに置き、そこから海外への発着を可能にする。その意味では、関東なら茨城空港近くがよいかもしれない。中部なら静岡空港近くとか。社会インフラは特別国債でまかない、新拠点からの税収で返済すれば、国民の新たな負担は避けられる。
そこでの法体系は、日本国憲法が適用される以外は、現行の日本国法体系にとらわれず、新たな法体系を作る。理想的な、22世紀の日本が目指すべき法体系を徹底して構築する。司法制度も、最終的には日本の最高裁判所での救済を可能にする程度で、そこでの司法制度(三審制)を構築する。各拠点に高裁、最高裁があるのは大変そうなので、上級審は関東拠点で一括して存置してもよいかもしれない。
外国人も、必要、合理的な範囲で積極的に受け入れ、居住、労働可能とする。海外の資本を大々的に取り入れ、高度に情報化された、それにふさわしい企業を収容した、最先端のスマート、インテリジェントシティ化する。新法体系で、海外資本もリスクを見極めやすいだろう。税金も、フローについては大きく優遇し、例えば、所得税、住民税は一律で2割(込みで)とか、消費税は無し、といった思い切った税制にする。カジノで遊べたり、外国人が大挙して訪れる魅力的な街にする。
そうした拠点が、20〜30年の間にそれぞれ200万人から300万人の人口になり、日本経済上の中核都市になって、経済面で日本を大きく牽引する。少子化で徐々に日本全体の人口は減り、活力ある現役世代はそういった拠点に、そうではない人々は、その他の日本各地に住んで、と二極化するだろう。新拠点の住民については、年金は積立制にして(税金が安い分)、老後は各自の積立でまかなってもらう。それ以外の人々をどうするかが問題だが、財政を好転させ、65歳以上は一律の1人10万円のベイシックインカム制にする、といった方策も検討すべきだと思う。
日本を強くするためには、これくらいの思い切った手を打つべきだろう。