昭和天皇・マッカーサー会見(岩波現代文庫)

 

昭和天皇・マッカーサー会見 (岩波現代文庫)

昭和天皇・マッカーサー会見 (岩波現代文庫)

 

 これを読み通さねばと前から思っていて、やっと通読することができました。読むのに骨が折れる内容でしたが、なかなか読み応えがありました。

本書の表紙写真になっている初回の会見で、昭和天皇が、マッカーサーが回想記で書いているような全責任を負うといった発言があったかどうかから始まり(著者は、マッカーサー回想記通りの発言ではなくそれに近い発言とともに、隠れた他の発言もあったと考えているようですが)、その後の繰り返される会見の中での、昭和天皇の思惑や政治に踏み込んだ発言の状況が克明に辿られていて、日本国憲法公布後、しばらくの間の昭和天皇が、すぐれて政治的な存在であったことが浮き彫りにされています。

最近は、戦後史を単純化、図式化して、都合良く語られがちな傾向がありますが、きちんと史実に目を向けて、それを踏まえて語る必要があり、その意味で本書を読むことができたのは大きな収穫でした。