侍従長の回想(講談社学術文庫)

 

侍従長の回想 (講談社学術文庫)

侍従長の回想 (講談社学術文庫)

 

 昭和19年から21年まで、昭和天皇侍従長を務めた著者による回想記で、戦局が特に厳しくなった以降の、昭和天皇による聖断を経た終戦終戦直後の昭和天皇やその周辺の動き、姿が生々しく語られています。

昭和天皇が、明治憲法における天皇の在り方として、専制君主ではなく立憲君主であり、内閣が決定した開戦は裁可せざるを得なかったが、終戦については内閣では決めかね、求められたので意見を述べたと語っているのは、戦後も一貫して語られていたことで、昭和天皇としては、このような考えで明快に一貫していたのであろうと、改めて感じました。終戦に当たっての「聖断」スキームは、昭和天皇も語るように、鈴木首相と昭和天皇の間の強固な信頼関係あってこそのものであり、そういう手法での回避ができなかった開戦は不幸であり、なんとか終戦に持ち込めたのは、鈴木首相という余人をもって代えがたい人物を首相に戴いての幸運であったと言うしかないでしょう。

Kindleでも読めますので、興味、関心ある方にはお勧めします。