男児の遺体見つからず2人を処分保留 新潟地検

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160516-00000077-asahi-soci

男性と女性は2014年夏ごろ、当時同居していた糸魚川市歌の自宅で男児を出産した後、首を刃物で切って殺害。男性はその翌日ごろ、遺体を捨てた疑いがあるとして、県警は4月25日に2人を逮捕、27日に送検していた。
事件は女性の自首をきっかけに発覚した。県警は、凶器とみられる刃物も押収したと説明していたが、男性は一貫して容疑を否認。県警は10日から、女性の供述などをもとに男性の自宅付近の山を捜索したものの、16日までに遺体は見つかっていない。

外国における昔の刑事司法制度では、殺人事件で有罪になるためには死体の発見を要するとしたものもありますが(有罪になった後に、殺されたはずの人が実は生きていたということが起きたので、という経緯があったようです)、そういった「法定証拠主義」は、現在の日本の刑事訴訟法では採られておらず、自由心証主義の下、「死体なき殺人」でも、殺害が証拠上明らかであれば有罪にはなり得ます。ただ、死体が発見されないということは、ここに捨てました、という自白に裏付けが得られていないということであり、自白の信用性に重大な問題が生じかねませんし、殺害の手段・方法についても発見された死体による確認が得られていないということにもなって、立証構造が自白に大きく依存しつつも信用性の裏付けが得られていないという脆弱なものになりがちです。しかも、上記の記事の件では被疑者2名のうち1名は否認ということで、新潟地検としても現段階での公判維持が困難と判断し、継続捜査の上での処分決定としたのでしょう。
自首があっても起訴に持ち込めない場合もある、犯罪捜査、立証の難しさを感じさせる事件です。