トヨタ元役員、起訴猶予で釈放 東京地検が情状考慮

http://www.nikkei.com/paper/article/?n_cid=kobetsu&ng=DGKKASDG08H64_Y5A700C1CC1000

地検幹部によると、麻薬成分を含む医薬品で摘発された例は過去に少なくとも4件あった。オキシコドンを含む錠剤21錠を密輸したとして4月に逮捕された米国人男性は起訴され、東京地裁で執行猶予付きの有罪判決を受けた。判決では本人の依存性が指摘された。
一方、2月に別の麻薬成分を含む医薬品を米国から輸入したとして摘発された米国人女性は不起訴処分となった。米国から薬品を発送した母親は医師だったという。
法務・検察幹部は起訴・不起訴の判断について「入手経路や量、使用目的などを勘案する」と話す。ハンプ元役員の起訴猶予もこうした方針に基づいたとみられる。

おそらく、オキシコドンが、まだ日本の刑事司法では評価が明確に定まっていない、過渡期にある薬物ということになるのではないかと思いますね。
覚せい剤等の、関わること自体がおよそ許されない、厳罰に処されるという評価が定まったものではないため、濫用とか他への譲渡といった悪質性があれば起訴、そうではなく医療目的での入手であれば不起訴を含む軽い処分と、処分結果も割れているのでしょう。
例えば、覚せい剤も、かつて、昭和20年代半ばまでは違法な薬物ではなく、その後も、昭和30年代、40年代頃は、私が検察庁在籍当時に、前科記録を見ていると、自己使用では罰金刑になっているケースも結構あって、自分で使って他人に迷惑をかけていないから罰金でも可、と考えられていた時代もあったことに驚きを感じたことがありました。その時代における薬物への評価も、時代が進むにつれ変わっていくことはあり、オキシコドンも、今後、日本で濫用が進めば、覚せい剤等の薬物と同様に、関われば当然厳罰、という取扱に移行する可能性はあるでしょう。そういった視点も、上記の事件や処分結果を見る上で必要ではないかという気がします。