ヤフー、遺伝子情報を広告に利用 慎重な運用求める声も

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141107-00000049-asahi-sci

ネット広告は同社の売上高の7割を占める主力事業だ。ネットの検索結果などから個人の関心がどこにあるのかを調べ、広告に生かしている。同じように遺伝子検査の結果に応じて広告が打てれば、健康食品や医薬品などの業界で需要が見込める。
経済産業省が策定した「個人遺伝情報保護ガイドライン」は、遺伝子情報を扱う事業者が使う目的を明確にし、利用者に説明して同意を得ることを義務づけている。ヤフーの対応はこれに従ったものだ。

いろいろな角度、視点から問題が指摘できると思いますが、私が特に懸念するのは、倫理的な面と危険性、の2点ですね。
遺伝子検査の結果は、検査対象の、人間としての最も深奥の部分に関する情報ですから、そういった情報を、「金儲け」に使って良いのか、それも、いかに同意があるとはいえ、一方的に配信する広告にそれを利用するのが倫理的に見て果たして適切なものなのかということは、慎重に検討、議論されなければならないことでしょう。現状では、そこについての検討、議論が尽くされているとは到底思えないものがあります。
さらに、危険性という点では更なる懸念があります。遺伝子検査の結果に基づいて、上記の記事にもあるように、「健康食品や医薬品などの業界で需要が見込める。」と、様々な広告が配信されることで、様々なリスクも生み出されることにもなりかねません。この遺伝子検査結果ではこの健康食品、医薬品は、使用、服用することで副作用や体調悪化等のリスクがある、といったことがコントロールされないまま広告が「垂れ流し」の状態になることには、重大な懸念を感じざるを得ません。同意を得るにあたって、そういった、今後、将来のリスクについての十分な理解を得ることは、極めて困難、事実上不可能なことではないでしょうか。同意、同意と、同意さえ取ればできるという発想の限界を越えたものがそこにはあるように思われます。そうした同意→情報利用にあたり、利用する側は巧みに免責されるのが通例ですが、そういった免責の裏で取り残された巨大なリスクで泣くのは個々の利用者です。
金儲け、ビジネスが優先されて、それ以外のものが疎かになることが極めて憂慮すべき、取り返しがつかない結果を招きかねないものがあるということから、この問題の議論がスタートすべきではないかと強く感じるものがあります。