http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140607/k10015051551000.html
これに対して専門家からは、利用者が登録時に承諾した以外の会社にプライバシーに関わるデータを提供することになるため、利用者には十分な説明を行うべきだという声も出ています。
パソコンやスマートフォン、それにポイントカードなどの普及で、私たちの行動や買い物などの履歴は日々、記録されるようになりました。
こうして集まった膨大な情報はビッグデータと呼ばれ、さまざまな方面で活用が広がっています。
先日、私も参加した
日本刑法学会第92回大会(於同志社大学今出川キャンパス・室町キャンパス)
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20140525#1401006136
で、「監視捜査とその法的規律」が検討されていて、従来、監視カメラなどの「監視捜査」で、情報の取得及びその後の保存、利用等のプロセス中、最初の「取得」に問題の捉え方が偏っていたのではないか(取得時中心主義)という問題意識に基づいた議論が行われていたのですが、ビッグデータの取扱いについても、そうした点は、今後、意識されざるを得ないような気がします。情報取得時の同意を軽視するわけではありませんが、ビッグデータの様々な活用について、膨大な人々に、逐一、同意を得ることは、事実上困難でしょう。むしろ、同意によりカバーしにくい、問題のある利用方法(例えばIDをキーにして名寄せをするとか)を、具体化、類型化して厳しく制限する(違反に対する実効性のあるペナルティも含め)ということも、今後、検討されるべきではないかと思います。ビッグデータ活用と、プライバシー侵害防止を両立させるためには、取得時に同意を取っていないと駄目だという、そこに過度に目を向けすぎることは得策ではないのでは、という印象をどうしても抱かざるを得ません。
そういった点は、上記のエントリーで述べた、私自身の、
取調べの可視化が進むことで、従来のような長時間、綿密な取調べで詳細な供述を得て、といったことが困難になれば、極力、様々な客観証拠から立証を尽くすという手法に大きく転換せざるを得ず、そのためには、捜査機関が日頃から収集した、あるいは入手できる様々な、膨大な情報(最近、話題の「ビッグデータ」的なものも含め)を利用する手法を避けては通れないでしょう。それを、プライバシーとの関係で、取得時点からひたすら厳しく制限するということになれば、では、何で立証するのか、ということになりかねません。人権も重要ですが、犯罪の抑止や摘発も公益性の高い事柄であり、適切なバランスを図る上で、従来の、監視型捜査で情報取得を厳しく封じて終わりにするような議論は見直されなければならず、取得だけでなくその後の保存、利用という一連のプロセス全体が、プライバシー保護と両立するような、そういった監視型捜査を実効性を伴いつつ「監視」する新たな法制度など、検討、実現されるべきことは少なくないという思いを改めて持ちました。
という問題意識と、共通の基盤を持つ面があります。
対立する利益の両立、どこでバランスを取るかという問題は、今後も活発な議論の中で検討、決定されるべきでしょう。