法と心理学会 第15回大会

10月25日、26日と、関西学院大学上ヶ原キャンパス(西宮市)で開催され、私はこの学会に所属していないのですが、26日午後に開催された公開シンポジウム「取調室のなかに心理学者は何を見るのか?〜可視化と心理学研究の可能性」にコメンテーターとして呼ばれ、参加してきました。

http://jslp.jp/taikai/141010.pdf

心理学の研究者から、現状での、取調べの問題に対する心理学からの最新の取り組みが紹介され、私は、検察官の経験もある刑事実務家(弁護士)としての観点から、

私が1989年(平成元年)に検事に任官した当時は、取調べに関する研修は特になく、先輩検事の話を聞いたり過去の成功した取調べの話を参考にするなど手探り状態で手法を学んだものだった。自白獲得が至上命題とされ、例えば、否認している状態で調書作成すると自白しなくなるからその状態では調書は作成するな、変遷の形が残らないように途中で細切れの調書は作成せずまとめて作成すべき、疑問を持たず確信を持って取調べをしないと自白は取れない、といったことを叩き込まれるような状況であった。そういう、誤った、科学性のない取調べが、最近は見直され科学性が積極的に取り入れられていることは望ましいことではあるが、現在は過渡期であり何かが確立しているわけではなく課題は大きいし、過去の自分自身が置かれたような環境で育った世代が管理職になっていて古い考え方は簡単には払拭できないだろう、それも課題

といったことを話しました。その場での意見、議論には、私自身もいろいろと考えさせられるものがあって、勉強、参考になりました。
このように、法律、心理学の双方の視点で、取調べの問題に取り組むことは、今後、ますます求められることになると思われ、こういった場に呼んでいただき、良い刺激も与えられたという印象を持ちつつ、帰京しました。