カティンの森

カティンの森 [DVD]

カティンの森 [DVD]

今年の3月に、ポーランドクラクフを拠点に、その近くにあるアウシュヴィッツ・ビルケナウなどに行ったのですが、クラクフの旧市街で、カティンの森事件の慰霊碑があり、その前で頭を垂れて犠牲者の冥福を祈りました。この作品の中では、当時のクラクフが繰り返し登場して、行ったばかりであったので、よりリアルに感じることができました。

 2014年3月 クラクフ

カティンの森事件は、ドイツやソ連によるポーランド侵攻後、ソ連の秘密警察が、捕虜となった多数のポーランド軍将校らを殺害したものですが、この作品でも、ソ連による犯行であることがポーランド内部でも公然の秘密化されつつソ連の強い影響の下、ナチス・ドイツによる犯行として人々が動かざるをえなかった様子などが生々しく描かれています。カティンの森での虐殺シーンはとてもリアルで、正視し難いものを感じつつ、このような悲劇に遭遇した人々への強い哀惜の念を抱かずにはいられませんでした。2010年には、カティンの森事件の慰霊式典へ向かう途中のポーランド大統領やポーランド政府、軍高官らを乗せた航空機が墜落して乗員、乗客が全員死亡するという悲惨な事故も起きていて、クラクフのヴァヴェル城内にある故・大統領夫妻のお墓にも、滞在中、行って冥福を祈りました。
作品としては、ドキュメンタリータッチで淡々と描かれ、やや盛り上がりには欠けるものがありますが、扱っているテーマの重さややりきれなさが、美しいクラクフポーランドの風景とともに描かれていて、やはり観ておいて良かったと思わせるものがありました。