シンドラーのリスト

説明の必要がないほど有名な映画ですが、実は、最初から最後まできっちりと観ていないのではないかと思っていて、意を決して、iTunesで購入してきっちりと観ました。かなり長い作品ですが、集中して観はじめると、長さを感じることはなくなり、最後まで観て、やはり良い作品であることを、改めて感じました。中公新書の「ホロコースト」も、並行して読み進めたので、時代背景やユダヤ人迫害の経緯がよくわかったこともプラスになりました。
(以下、ストーリーの内容にわたります)
あくまで作品中の人物像に関してですが、シンドラーの元々の目的は、ナチスに取り入り金儲けをすることで、ユダヤ人雇用もその手段にしか過ぎなかったものでした。インターネットで本作品に関する情報を検索して読んでいると、戦後、シンドラー夫人(シンドラーは戦後離婚したとのことで元夫人かもしれませんが)が、シンドラーの目的は金儲けであったとネガティブに語っていたとのことで、そこは醒めた目で見る必要があるものの、作品中で描かれているように、彼なりに懸命に人命を助けようとした、その姿勢や努力はやはり高く評価されるべきでしょう。そして、この作品で描かれようとしていたのは、単にそういう奇特な人がいた、ということではなく、圧政や虐殺など、人間の尊厳を妨げようとするあらゆる悪行に対抗する上で大きな力へと昇華するものは、金儲け主義で女たらしでもあったシンドラーの内部にもあった、人としての健全な感覚や人を救うためにできる行動を起こす勇気、意思である、ということではないかと、私は感じました。
最後に、戦争が終わり、ユダヤ人に見送られて去ろうとするシンドラーが、もっと金があれば、自分の浪費した金をもっと回せば、もっと多くの人が救えたのにと泣き崩れるシーンは、とても印象的でした。
人としての生き方を考える上でも、今後も長く多くの人々に観られる名作でしょう。