経済刑法

経済刑法

経済刑法

経済刑法というのは、本書のはしがきで編著者の山口先生が書かれているように、経済活動を規制する刑罰法令ですが、「経済刑法」という法典があるわけではなく、いろいろな法律のあちらこちらに散らばった状態で存在しているため、文献もばらばらで、勉強しようとしても勉強しにくいのが従来の状態だったと思います。私も、検察庁勤務当時は、こうした分野の事件を担当したことがあり、弁護士になってからも相談を受けることなどがありますが、その都度、必要な資料を探したり判例をあたったりしてきたものでした。
最近出た本書は、こうした経済刑法の分野について、山口一門の方々が分担して執筆しているもので、ざっと目を通してみましたが、判例の引用が豊富である上、この分野でありがちな、どこの馬の骨(?)が書いたかわからないようないい加減な本に比べ、信頼度が高く、手元に置いて必要に応じ取り出して読みこれを起点としていろいろと調べたりするのに便利な一冊という印象を受けました。
文章も、全体として、平明にわかりやすく書かれていて、あまり頭の良くない私でも、すんなりと読めますから、この分野に関心を持ちこれから勉強しようとしている人などには最適でしょう。