国家公務員宿舎、家賃2倍に…割安との批判受け

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121120-00000638-yom-pol

2014年度から段階的に実施する。値上げ分で、宿舎の維持管理・修繕に今後かかる費用(年間約550億円)を賄う。14年4月からの消費税率引き上げに対する国民の理解を得るため、身を切る改革が必要と判断した。来週中にも発表する。
国家公務員宿舎の家賃は、周辺地域の民間家賃に比べて、3分の1程度にとどまる物件もあり、割安との批判が出ていた。実現すれば、過去最大の値上げ率で、民間の家賃水準に近づくことにもなる。

私は、検事任官した後、自宅を購入して(ローンを組んで重い負担に耐えて)出るまで、8年ほど公務員宿舎に住んでいましたが、住んだところはどこも築年数がかなり経過していて、しかも、ずっと1階で湿気が強く風呂場の壁にはカビが生えていたりして、快適には程遠い環境でしたね。ただ、家賃が安い(50平米から60平米程度で月額3万円程度だったでしょうか)のは、まだ給与も高くない当時でしたから、助かっていたという記憶があります。
公務員宿舎の場合、あまり一般には知られていませんが、退去の際に「原状回復」が求められ、ふすまを全部張り替えたり、カビが生えた風呂場の壁は塗り直したり(歴代の居住者がカビが生えては塗り替えるのでカビが塗り込められていることになってしまいます)、そういう、民間のアパート、マンションにはない負担が生じます。家賃を2倍にして、そういう原状回復を求めるのか、という問題は生じそうです。
かつては、公務員給与が民間より低く、住居を格安で提供する切実な必要性があったのかもしれませんが、現状では、そういった状況にはなく、今後、漫然と多くの公務員宿舎を維持し多額の費用をかけるということはやめるべく、老朽化した宿舎は取り壊し敷地は有効活用するか売却して、緊急時のために待機する職員向けにごく一部を残す程度にとどめるべきでしょう。若手で給与が低く、特に都会に住んでいて住居費がかさむ職員には住居手当を民間並みに出すなど、実状に合った、また、民間の待遇とも均衡のとれた、合理的で国民の納得が得られる公務員住居制度を構築しなければならないと思います。単に、公務員がけしからん、といった公務員バッシングにより右往左往するのではなく、50年、100年後にも耐えうる、がっちりとした制度を作っておくべきでしょう。