http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121005-00000136-san-soci
府警などによると、府警阿倍野署が昨年6月16日、偽ブランド品を所持したとして50代の女性を現行犯逮捕。2日後に送検する際、「16日」とすべき犯行日を逮捕翌日の「17日」と誤って記した書類を提出した。地検と地裁もこの誤記を見逃したため、女性は18〜20日まで府警の施設で勾留されたという。
現行犯逮捕の場合、法律家の目に触れるのが、検察庁に事件が送致されてきた時が初めてなので(通常逮捕、緊急逮捕はそれまでに裁判官がチェックしている)、弁解を聴く手続をする検察官は、特に慎重に、現行犯逮捕の適法性や被疑事実が適切なものになっているかなどをチェックする必要がありますが、検察庁におけるそういったチェックが不十分であったのでしょう。
また、今でも、私が検察庁にいた頃とやり方は変わっていないと思いますが、勾留請求や勾留状作成の際に添付する被疑事実を、送致の際に警察が準備しておくもので(記録にはさんであるのが通例)、それは、事務処理上は便利ですが、検察庁や裁判所で漫然と処理されていると、上記の記事にあるような、致命的な間違いが見過ごされて、そのまま勾留されてしまう、ということも起きかねない危険性があります。
令状事務は、右から左に流すのではなく、チェックする、ということを意識し念頭に置きながら進められるべきですが、実際は、右から左に流されていて、警察が作ったままでポンポンとハンコが押されていて、だからこういう過誤も起きる、ということなのでしょう。刑事訴訟法の教科書に書いてある、令状主義の崇高な理念と、実際の令状事務のかい離というものを感じますね。