司法改革の失敗と弁護士―弁護士観察日記〈PART3〉

司法改革の失敗と弁護士―弁護士観察日記〈PART3〉 (弁護士観察日記 PART 3)

司法改革の失敗と弁護士―弁護士観察日記〈PART3〉 (弁護士観察日記 PART 3)

先に出た

大増員時代の弁護士―弁護士観察日記〈PART1〉 (弁護士観察日記 PART 1)

大増員時代の弁護士―弁護士観察日記〈PART1〉 (弁護士観察日記 PART 1)

破綻する法科大学院と弁護士―弁護士観察日記〈PART2〉 (弁護士観察日記 PART 2)

破綻する法科大学院と弁護士―弁護士観察日記〈PART2〉 (弁護士観察日記 PART 2)

が、拾い読み程度でなかなか読めずにいたところ、PART3が出たので、これを先に通読しました。1、2も、今後、一通り読みたいと思っています。
本書でも「失敗」とされているのは、主として法曹養成制度を指していると思われますが、明治維新後の日本では、司法試験(その時々で呼び名は変化してきましたが)合格者を極端に少なく絞り、法曹人口は常に少なく限定して、一握りのエリートによる「小さな司法」が志向され、それは、昭和20年の敗戦後も、司法制度自体は大きく変化したものの、そういった小さく限定された法曹人口、エリート主義といったものに変化はないまま、平成の世を迎えたのではないかと思います。
それが、合格者3000人体制が提唱され、法曹人口を激増させた上での「大きな司法」へと転換する方針になったわけですから、日本の近代司法史上、未曾有の大変革で、描かれた理想と現実の間のギャップも大きく、簡単にバラ色の状態にはならないのは必然ではなかったか、という気がします。
今後、どのような「再改革」へと進むべきか、今後、議論を早急にまとめて具体化する必要がありますが、このままでは食い詰めてしまう、といった、むしろ旗を押し立てた百姓一揆的なミクロな議論だけでなく、日本という国で、これまでの歴史を踏まえ今後の長期的な展望にも立ちつつ、司法というものがいかにあるべきでそれを担う法曹というものが、法曹養成制度がいかにあるべきかというマクロな視点、議論もうまく織り交ぜて行く必要を感じます。