吉村昭と三陸海岸(上)(下)作家・津村節子

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110525/dst11052503180003-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110526/dst11052602500006-n1.htm

古い文書を調べたり、土地の古老に話を聞いて回ったりと、克明な調査に基づく本ですが、ただの記録ではなく、作家としてそれを文学にしたんです。吉村はこの本を書いてから、「津波は必ず、また来る」とずっと気にかけていました。かつてない大変な災害の中、この本は一種の予言のような形で読まれているのかな、と。

三陸海岸大津波 (文春文庫)

三陸海岸大津波 (文春文庫)

は、先日読み、吉村作品らしい、骨太な、事実を重視した作品であると、強い印象を受けました。次は、上記の記事でも言及されている

新装版 関東大震災 (文春文庫)

新装版 関東大震災 (文春文庫)

を、是非読みたいと考えているところです。
今までに読んだ吉村作品の中で、特に感銘を受けたのは、

ポーツマスの旗 (新潮文庫)

ポーツマスの旗 (新潮文庫)

でした。日露戦争後のポーツマス講和条約締結に向けての、小村寿太郎全権団の苦闘や、困難な状況の中、できる限り有利な講和条約を締結したにもかかわらず、賠償金が取れなかったことから国民に恨まれ、帰国後、攻撃を受ける有り様などに、いろいろと考えさせられるものがありました。
今後、少しずつでも、読んでいない作品を読んでみたいと思っています。