東京・芝のエレベーター事故死:シンドラー社員も立件 6人書類送検へ−−警視庁

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090330ddm041040133000c.html

シンドラー社についてはエレベーターの製品自体には欠陥がないとして、立件は困難とみられていたが、稼働開始当初の7年間に保守管理も請け負っていた点を重視。故障情報や点検マニュアルなどを引き継いでいれば事故は防げた可能性が高いと判断した模様だ。

シンドラー社は事故後の会見で、保守管理を担当していた7年間で住民が閉じ込められるなどの故障が27件あったことを明らかにしている。捜査幹部によると、04年11月にはブレーキの不具合が原因とみられるかごの停止もあったという。しかし、シンドラー社はこれらの故障情報などを引き継がず、点検マニュアルも渡していなかった疑いがある。
一方、エス社は、点検作業員(29)らが事故9日前に点検した際、ブレーキパッドの摩耗で出た粉の堆積(たいせき)などの異常を見逃した疑い。捜査1課の実験で、事故機はブレーキを作動させる電磁コイルに不具合が生じ、ブレーキがかかった状態での運転が続いたことが判明している。このためブレーキパッドが摩耗し、ブレーキが機能しなくなり、かごが急上昇したとみられる。

上記のような過失が競合して事故が発生した、というのが警察の見立てのようですが、シンドラー社側については、保守管理を引き継いだ後は引き継ぎ先が保守管理に責任を負うべきであり、引き継ぎ先が注意義務を尽くしていれば事故を防げた以上、自分たちに過失はない、といった主張をしそうな印象を受けますね。
この種の事故で、情報やマニュアルを引き継がない、といった点が過失で問われるのは珍しく、今後の東京地検による判断が注目されると思います。その点が過失として問われる、ということになれば、この種事故を防止するための安全対策という意味で大きな前進へとつながる可能性は確かにあるでしょう。ただ、その一方で、そこまで過失の成立範囲を拡大して良いか、不可能を強いるものではないか、という問題もあって、立件の在り方として考えさせられるものがある、という印象を受けます。