ストーカー判事:裁判員制度に影響

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080808k0000e040107000c.html

裁判所関係者は一様に事件を「個人的な問題」とみる。しかし、地裁支部長と部下をめぐる不祥事でもあり、裁判員制度への悪影響を懸念する声は少なくない。

この事件が裁判所の威信を傷つけたことは間違いないと思いますが、ストーカー判事がいたから直ちに裁判員制度に影響、ということは特にないでしょう。この論法なら、マスコミ関係者による不祥事が起きると、直ちに所属する組織やマスコミ全体に対する不信感につながる、などということにもなりかねませんが、どういった分野にもごく少数の不心得者はいるものであり、それをもって全体を推し量る、ということを安易にすべきではありません。
ストーカー判事の件は、裁判所といっても人間の集まりであり(当然ですが)、キャリアを重ねた裁判官であってもこのような破廉恥なことをしでかしてしまう者がいる、という、当たり前と言えば当たり前のことが再確認された、という点で重要ではないか、という気がします。報道によれば、ストーカー判事は、不動産購入に絡んで多額の借金を負って苦しみ、それが犯行の遠因にもなっていたようですが、そういった人物を支部長という地位につけていた最高裁判所の人事管理にも問題がなかったとは言えないでしょう。
裁判官だから人格高潔で非の打ち所がない人物に違いない、悪いことをするはずがない、といった思い込みにとらわれるのではなく、人間として陥りがちな誤りは犯す可能性があり、だからこそ裁判員制度というものも一定の存在価値がある、という視点のほうがむしろ必要、という気がします。