http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080716-00000068-san-soci
虚偽報告罪の成立には、道路運送車両法で国交相の正式な報告要求が必要とされており、1審は「国交相の正式な報告要求はなかった」と判断していた。
永井裁判長は、「事態に即応するため、迅速に情報を入手する必要があり、その都度、上司の決裁を得ることは現実的でない」と指摘。国交省の内規で報告要求の権限は担当職員に委ねられていたとした上で、リコール対策室の職員が三菱自に行った報告要求は適法と認めた。
どちらの解釈が正しいかは、道路運送車両法の当該規定をどう評価するかにもよりますが、実際の現場における行政の進め方、ということを考えた場合、控訴審判決のほうが、より実態に即している、ということは言えるように思います。
例えば、裁判所で、ちょっとしたこと(東京地裁では、裁判所内の警察仮監での接見など)で裁判官の押印のある書類の交付を受けることがありますが、いちいち裁判官に確認せず書記官がその場で押印して渡してくれることがあります。そういう場合、「裁判官がその権限に基づいて職務を行っていない」とはされず、一定の範囲内で書記官に委ねている、と見るべきでしょう。そういった解釈がどこまで許容されるかは、記事にあるような内規の存在のほか、委ねられているかどうかが問題になる行為の内容にもよるとは思います。
本件については、既に被告人側が上告したようですから、最高裁の判断が注目されると思います。
追記:(平成21年12月2日)