http://www.asahi.com/national/update/0324/SEB200803240014.html
問題の接見は、03年の県議選曽於郡区で初当選した中山信一県議と妻が住民11人と計191万円を授受したとして公職選挙法違反の罪に問われた「志布志事件」の際、容疑者や被告とその弁護人の間で行われた。
訴状などによると、県警と鹿児島地検の捜査担当者は、容疑者や被告計7人から弁護士との接見内容を聞き取り、「否認をそそのかされた」「親族からの手紙をプラスチックの壁ごしに見せられた」といった趣旨の供述調書計76通を作成したとされる。
この判決で、上記のような行為の中のどの部分について、どのような理由で違法性が認定されたのかは、この記事を見る限りよくわからず、その点は改めてコメントしたいと考えています。
ただ、一般的に、取調べの中で、弁護人との接見状況を聞き出すような行為は、接見交通権が「秘密」交通権であることからも、原則として許されないことであり、被疑者側が自発的、積極的に供述するなど、ごく例外的な場合に、真に必要な限度において、許容される場合もある、というのが、常識的な理解でしょう。実際の捜査の現場でも、接見内容を聞き出すような行為は、通常、行われておらず、それだけに、志布志事件の異常性には際立つものがあります。
事件の筋を読み違え、間違った筋を無理矢理維持するために「踏み字」など自白強要を繰り返し、接見妨害まで行い、公判開始後も保釈に反対して無駄に身柄拘束を長引かせ、挙げ句の果てに全員無罪、という、日本の刑事裁判史上、類を見ないでたらめな捜査、公判について、捜査、公判を指揮した者が誰一人として責任を取ろうとしない点に、日本という国の衰え、堕落を見る思いがします。