東京地検、誤認起訴認める 傷害事件の公訴取り消し

http://digital.asahi.com/articles/ASJ7N648FJ7NUTIL03S.html

検察側は6月の初公判で「2人の被告と氏名不詳者の計3人が事件直後、タクシーに乗って逃げた」と主張。弁護側がタクシー内のドライブレコーダーの映像を入手したところ、別の3人組が映っていた。
会見した地検の落合次席は、弁護側に指摘されるまでドライブレコーダーの映像を確認していなかったことを認めたうえ、「目撃者の供述を過度に信用し、客観的証拠が不十分だった」と述べた。

私自身、検察庁在籍当時、捜査経験が通算して10年ほどありますが、最も危惧していたのは、捜査段階で取れていなかった裏付けが、公判段階になって、起訴事実を否定する方向で裏が取れてしまう、事件が潰れる、ということで、そうならないように、捜査段階で、取れる裏付けは徹底して取ることを励行していたことが思い出されます。上記の事件では、タクシーのドライブレコーダーの存在がどの時点で把握されたかよくわかりませんが、捜査段階で把握されていたのであれば、それを収集して内容を確認する必要性が極めて高かったと思われますし、それが未了な状態であれば、思い切って身柄を処分保留で釈放してでも、その点の捜査を尽くす必要があったのではないかという印象を受けます。
基本に忠実な捜査(捜査に限りませんが)ということが昔からよく言われますが、そのことを改めて肝に銘じる必要があることを強く感じさせるものがあります。
人の供述というものは誤りがありがちで、そうであるからこそ供述以外の客観証拠を重視する、その上で供述証拠の信用性を見ていく、そういう基本を常に念頭に置いておくべきです。