東京裁判と広田弘毅元首相

昨夜、NHKで、NHKスペシャルA級戦犯は何を語ったのか〜東京裁判・尋問調書より」が放映され、途中からしか見られなかったのですが(再放送できっちり見たいと思っています)、弁解しない広田弘毅元首相の姿が非常に印象的でした。
広田元首相は、先日亡くなった城山三郎による「落日燃ゆ」で有名で、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050126#1106698471
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060806#1154828450

でもコメントしたように、私自身の広田元首相に対する評価は、年を経るに従って、やや厳しめなものになっていましたが、上記の番組を見ながら、当時の具体的状況の中で、彼に何ができたのか、何が彼の罪だったのか、ということを、改めて考えさせられました。
東京裁判の中で、南京事件について、当時の広田外相が閣議で問題としなかったという不作為が犯罪とされたことが上記の番組でも紹介されていましたが、統帥権が独立していた当時の憲法下において、そういった不作為まで犯罪視することは、無理があったとしか言いようがありません。とは言え、そのような理不尽な責任追及に対し、責任を回避することなく、従容として自らの責任を認め、絞首刑というあまりにも重すぎる刑を真摯に受け入れ、死んでいった広田元首相は、人間として、やはり立派な方だった、と思わずにはいられませんでした。
「落日燃ゆ」を、改めてじっくりと読んでみたいという気持ちになりました。