http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070814i201.htm
関係者によると、取り下げられていたのは、警視庁が告訴を受け、東京地検に送られていた事件。告訴人から最近になって捜査の進展状況などの問い合わせがあり、同地検で確認したところ、告訴取り下げの手続きが取られていた。告訴人は「告訴は取り下げていない」と主張しているという。
告訴取り下げの手続きを取った検事は、任官14年目の中堅で、3月まで東京地検刑事部に所属していたが、4月に札幌地検に異動。東京地検では、検事が異動前に事件を処理したことにしようと、告訴人の了解を得ないまま告訴取り下げ書を捏造した可能性があるとみている。
送付事件がどのような犯罪であったかわかりませんが、親告罪(告訴がなければ起訴できない犯罪)であれば、告訴取消により、裁定主文「親告罪の告訴取消」で簡単に不起訴処分にできますから、事件処理に追われる中で、「捏造」といった愚かな行為に及んでしまったということはあり得ます。
また、従来は、非親告罪であっても、不起訴処分にする場合、告訴・告発の取り下げを強く求める、という慣行があった側面があります。おそらく、その後の苦情や検察審査会申立などの防止、という意味があったものと思われますが、最近は、無理な告訴・告発取り下げの働き掛けはされなくなっているものの、古いタイプの決裁官によっては、今でも、不起訴処分にあたり、主任検察官に対しそういったことを強いる傾向があるかもしれません。
いずれにしても、この容疑が事実であれば、日本の検察史上に残る一大不祥事になることは間違いないでしょう。
追記:
事件は強制わいせつであったようですが、親告罪ですから、不起訴の主文は「親告罪の告訴取消」になっていたはずです。実際は、告訴は取り消されていなかった、ということになりますが。
罪名として、有印私文書偽造、虚偽公文書作成が報じられていますが、告訴取消書に関するものが前者、不起訴裁定書(不起訴処分にあたり、犯罪事実や不起訴の理由等を記載して検察官が作成する公文書)に関するものが後者、ということでしょう。
本人の検事が厳しい処分を受けるのは当然として、担当の副部長、刑事部長だけでなく、次席検事、検事正にも処分があることは確実です。