詐欺容疑で緒方元長官逮捕 総連本部偽装売買、東京地検

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070628-00000910-san-soci

遂に来ましたね。詐欺容疑、というのは、やや意外でしたが、だます方の片棒を担いでいた、というのが特捜部の認定なのでしょう。
先日、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070620#1182301485

で、

事件として見込みがある、という判断に達し、身柄事件として捜査するのであれば、6月下旬から7月上旬までには着手して、夏休み期間中前に刑事処分を出し捜査終結、という、かなり早い展開になる可能性もあると思います。時間が経過すれば、罪証隠滅等の恐れが増大しますから、身柄事件にするなら、それほど間をおくべきではない、という判断がされる可能性があります。

とコメントしましたが、そういう方向で進んでしまいました。

追記:

緒方元公安調査庁長官を詐欺容疑で逮捕 総連本部問題
http://www.asahi.com/national/update/0628/TKY200706280317.html

緒方元長官らは「先に登記を移してから、購入代金を支払うのが絶対条件」などと土屋弁護士らにうそをつき、所有権を移転登記し、土地と建物をだまし取った疑いが持たれている。

日弁連会長は「被害者」側、ということで、日弁連関係者は、ほっと胸をなでおろしているかもしれません。朝鮮総連も被害者、ということになり、関係者は、ほっとしたり、妙な居心地の悪さを感じたりしているかもしれませんね。
現在までに収集した証拠で、この事件を切り取ると、「詐欺」ということになるのかもしれませんが、どうも、座りの悪さ、といったものを感じます。この辺の感覚は、表現しにくいのですが、いろいろな事件を見ていると、そういう感覚を持つことがあります。そういった感覚を持つ事件は、どこか組み立て方が変だったり、無理があったり、という場合があります。
疑問なのは、金が払えないのに、それをわかった上で(だからこそ詐欺ですが)移転登記をして、その後、代金が払えなかったらどうするつもりだったのか、ということです。このような「特殊な」物件は、転売もできず、代金が支払えなければ売買契約を解除され登記も再移転するしかなく、そもそも「支払の意思・能力もなく」このようなことをするのか、という疑問が生じます。このような疑問は、詐欺の本質的な部分である「欺く行為」やその点に関する犯意に対する疑問にも通じるものです。
私自身は、既に本ブログでもコメントしているように、元長官の、自らの立場をわきまえない不用意な行動には批判的であり、かばうつもりもありませんが、この事件が、真に「詐欺罪」が成立するものかどうか、ということは、「国策捜査」により作り上げられた事件ではないか、という疑問も含めて、慎重に見て行く必要があるのではないかと感じています。