セクハラ実名報道、名誉棄損でない…医大教授の敗訴確定

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070621i314.htm?from=main3

1、2審判決によると、女性は2000年、教授を相手取り、新潟地裁に提訴し、記者会見した。毎日新聞は、提訴を教授の実名入りで報じたが、02年に女性の敗訴が確定。このため、教授は03年、「虚偽の事実に基づく提訴を実名報道され、名誉を傷つけられた」として提訴した。

福岡で、シンポジウムの休憩中なので、手元に資料がないのですが、記憶のみで言うと、提訴について当事者や弁護士が行った記者会見が名誉毀損と評価された裁判例は、過去にあったと思います。
ただ、「そういう事実があった」と当事者が主張することと、「提訴があった」と報道機関が報道することは、やはり、切り分けて考える必要があるでしょう。提訴イコール勝訴、ではなく、裁判で勝つか負けるかはやってみなければわからず、提訴の事実を客観的に報道する、という範囲内にとどまっていれば、公益性、公共利害性、真実誤信相当性、といったことは、通常、肯定されてよいと思います。
ただ、法的な限界、という問題とは別に、実名報道の在り方、ということは、特にこの種の事件では、やはり、検討の余地はあると言えるでしょう。新聞等で報道されるということは、後に訴訟において勝訴しても、人によっては致命的なダメージを与えかねず、実名報道でよいかどうか、ということは、常に慎重に検討されるべき問題です。