著作権侵害罪の非親告罪化

http://benli.cocolog-nifty.com/benli/2007/06/post_b78b.html

私も、上記の小倉弁護士の見方に同感するものがありますが、付け加えるとすれば、刑事事件で立件する際に、権利者や捜査機関の負担がかなり軽減される、というメリットはあるでしょう。
私も、検事として、著作権法違反の事件を捜査、起訴した経験がありますが、親告罪である以上、起訴対象となっているものについてきちんともれなく告訴がされていないと公訴棄却になるので、かなり神経を使い告訴が欠けていないかどうか、起訴前にチェックしたことを覚えています。海賊版の事件で、対象物品の数が多いと、かなり面倒な作業になります。当然、告訴やその準備の段階でも、関係者にかなりの負担がかかることになります。権利者が海外にいる、というケースも、当然、出てきますから、そういう場合、面倒さ、煩雑さはますます募ります。
これが、非親告罪になれば、許諾したことはないとか処罰を求める、といったことについて、そこまで面倒な確認までしなくても済み、権利者としても、捜査機関としても、かなり楽になることは間違いないでしょう。
非親告罪化により、立件される件数が大幅に増えるとは考えにくいですね。この種の事件は、警察が自ら掘り起こして独自に立件する、という種類の事件ではなく、権利者やそれに準じる者の相談、届出があって立件される、というものであり、非親告罪となっても、そういった性質、構造は変わらないでしょう。
ただ、上記のように負担がかなり軽減されることで、立件しやすくなり、それが、立件数の増加につながる、ということはあり得ると思います。