はれのひ社長が謝罪「取り返しのつかないことになった」「ギリギリまで交渉していた」

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180126-00007338-bengocom-soci

報道によると、神奈川県警は、詐欺容疑などの立件も視野に入れて捜査している。刑事事件にくわしい落合洋司弁護士は「昨年破産した旅行会社『てるみくらぶ』の事件と構造がほとんど同じだ」と指摘する。
「たとえば、仕事ができる見込みがないのに、どんどん注文・予約をとっていたとしたら、理屈の上では『詐欺罪』が成立しうる。しかし、『がんばれば、なんとかなると思った』などと言われると、故意がなかったということになる。捜査状況次第で、立件は不可能ではないが、手間がかかるだろう」(落合弁護士)
てるみくらぶの事件では、実際よりも業績をよく見せて金融機関から借り入れをおこなっていたとして、同社代表が逮捕・起訴された。はれのひも「売上高を過大に計上したのは悪質だ」と疑惑が報じられている。落合弁護士は「今後、捜査が進んで、そうした事実が明らかになれば、詐欺として立件される可能性は十分ありうる」と話した。

顧客に対する詐欺罪を立件するとすれば、「欺く行為」は、「サービス提供の意思・能力がないのにあるように装って」ということになるでしょう。詐欺罪の場合、そのような欺く行為が故意に基づいて行われ、欺かれた側が錯誤に陥って支払することが、犯罪成立うえ、必要になります。
問題となるのが、

・客観的に、サービス提供が可能な状態であったか
・サービス提供の意思、能力がないことについて故意があったか

です。会社の財務分析を緻密に行い、資金繰りの可能性を詰めれば、破綻前のそれほど遠くない時期における、「もうこれ以上は無理」という時点を導き出すことは可能でしょう。ただ、そこを含めた、「サービス提供の意思、能力がないことについて故意」は、最後までなんとか破綻を回避しようと必死に頑張っていた、といった弁解が、この種の事案ではほぼ必ず出ますから、主観面の問題である以上、そこを排斥しきるのが困難になりがちです。
私も過去に、そういう案件を複数見てきましたが、警察がかなり頑張って捜査しても不起訴になりがちで、警察がなかなか告訴や被害届を受けたがらないパターンです。顧客からの詐欺として立件する場合、「はれのひ」もそうですが、被害額が1件あたり数十万円で、詐欺事件としては大型、多額のものにはなりにくく(件数をまとめてやるという手もありますが膨大な作業が発生します)、捜査がなかなか活性化しにくいという側面もあります。
その点、てるみくらぶで立件、起訴されているような、会社の財務状況を偽って融資を受けるパターンの詐欺は、財務状況という、詐欺の故意を否定するのが困難なところで捕捉することができますし、融資ですから数百万円、数千万円、場合によっては億単位の被害額にのぼることになり、捜査としてはやりやすい面がかなり出てくるものです。
警察当局も、はれのひへの捜査に入っているようであり、今後の行方が注目されると思います。