高畑裕太氏釈放、弁護人のコメント全文

http://www.asahi.com/articles/ASJ9955TKJ99UHNB00V.html

知り得た事実関係に照らせば、高畑裕太さんの方では合意があるものと思っていた可能性が高く、少なくとも、逮捕時報道にあるような、電話で「部屋に歯ブラシを持ってきて」と呼びつけていきなり引きずり込んだ、などという事実はなかったと考えております。

私は、この種の事件を、捜査する立場で見たことも弁護する立場で見たこともありますが、「被害者」が必ず全て本当のことを言っているとも限りませんし、密室で加害者、被害者の1対1という構図になりがちでもあって、真相がどこにあるのか、認定が難しくなることも少なくありませんし、弁護人としては、言われているようなことが真相ではない、と言っておきたくなる気持ちはよくわかります。
ただ、あくまで一般論ですが、示談して相手から一定の宥恕を得たといった場合に、釈放、不起訴になった後に、示談の際とは異なる言動に及ぶと、相手の不信を招くことになりやすく、それで事態がこじれるという恐れも出てきます。雄弁は銀、沈黙は金といった場合もあるという気がします(あくまで一般論であり上記の記事を指しているわけではありません)。そこは弁護士の立場でのコメントの難しさということになると思います。
強姦致傷事件は、非親告罪で、告訴がなくても起訴できますが、「致傷」の程度が軽微であれば、実質的に強姦事件と見て、示談が成立し被害者側が起訴を望まず告訴を取り下げていることを重視して、不起訴処分にすることはあり得る判断だと思います。本件に即して言えば、金額面も含めかなり誠意ある示談が成立した可能性や、被疑者が仕事を失い今後の俳優としての復帰がかなり困難で大きな社会的制裁を受けていることも考慮された可能性があるでしょう。