名古屋高裁 過去5年で 控訴50%増

http://chubu.yomiuri.co.jp/news_top/060818_1.htm

刑法改正による重罰化に伴い、厳しい判決が言い渡され、被告側が刑の軽減を求めるケースが目立つ一方、1審の無罪判決が2審で覆されるなど、事実誤認が多いことも背景にあるとみられる。上訴は、被告に保障された権利だが、件数の増加で、高裁、高検の負担は増している。

法定刑の引き上げや、検察庁内部の求刑基準の引き上げ(行われていることは間違いないでしょう)、それらに伴う裁判所の重罰化傾向、等々により、被告人、弁護人が刑が重すぎるとして控訴するケースがかなり増えているのは確実でしょう。
私の場合、検事をやめて6年ほどになりますが、従来の自分自身が持っている量刑感覚のままで求刑や判決を予想すると、軽すぎる、ということが多くなっています。5年と思ったら7年、とか、7,8年と思ったら10年、という感じです。したがって、安易に話をするのではなく、最近の傾向を踏まえた上で、感覚だけで話はしないように注意しています。私のような、元検事ですら、こういう状態ですから、一般的な弁護士が求刑、量刑予測をして、それを大きく上回る求刑、量刑になっている例は頻発しているはずです。
また、上記の記事にも出ていますが、検察官控訴が増えているのも事実でしょう。
以前は、地検が控訴意見を持っていても、高検が非常に厳格(検察官控訴自体を忌み嫌っていた、と言ったほうが良いかもしれません)で、高検へ報告へ行っても、難癖をつけたり、理由にもならない理由を持ち出したりして、控訴をさせずに事件をつぶしてしまう、ということが、非常によくあったものです。私も、副検事が公判に立ち会い無罪になった事件で、副検事だけで高検へ行かせるのはまずい、という検事正、次席検事の判断で、事件には関与していなかったものの記録を読んで高検へ同行したことがありますが、高検検事がよってたかって罵倒、難癖を連発して、結局、控訴できませんでした。控訴すれば有罪になり得る事件だったと、今でも思っていますし、そういった高検の姿を見ているので、感情面で、「馬鹿が集まった中二階」という印象を今でも拭えないですね(あくまで「感情面」ですよ、実態は違います)。
ただ、そういった無茶なことをいつまでも続けられるはずもなく、徐々に、高検も、控訴すべき事件は控訴する、という方向で是正されてきたのも事実だと思います。
重罰化傾向が、どこまで続くかはわかりませんが、そういった傾向が続く限り、今後も控訴事件は増え、関係者の負担は増加して行くと思います。