隣人殺害の男に懲役8年 京都地裁判決

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160209-00000024-kyt-soci

和田裁判長は「近隣トラブルをきっかけに一時的な逆上から起こった事案で、殺意は非常に弱い」などと量刑理由を説明した。

私は、昭和62年(1987年)に司法修習生になり、平成元年(1989年)に検事に任官し(2000年に弁護士に)、今年の3月で、司法修習生になった後、丸29年、検事になった後、丸27年になるのですが、昭和の終わりから平成の初め頃は、殺人罪で被害者1名の場合、検察官の求刑は懲役10年を基本として、情状面を考慮して、求刑をプラス、マイナスして決めていたもので、事件によっては懲役7年、8年といったものもあり、判決でも、特に心神耗弱といった事情がなくても懲役6年、といったものもありました。私が、ある地検にいた際に捜査して起訴した事件で、被害者側にかなりの落ち度が長期間にわたりあって、判決が懲役6年になったものがあって、さすがに軽すぎるだろうと思い公判に立ち会っていた別の後輩検事に判決後に苦言を呈したことが思い出されます(とは言え情状に照らしてやむを得ないとも思いましたが)。
その後、殺人罪の法定刑の下限も上がり(3年から5年へ)、全体としての量刑事情も重い方へ流れて、殺人罪で懲役8年という判決は見なくなってきた印象がある中、上記の事件の記事を見て、そういった歴史を思い起こしました。