堀江被告の弁護士「検察は困難直面」

http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20060514-31676.html

今回の事件について「大変複雑なケースです。地検側も全体を完全に理解できないでしょう。地検は堀江被告が自白すると期待していたのです。しかし、起訴事実をすべて否認されたため、地検は深刻な困難に直面しています」と強気な姿勢を見せた。
東京地検特捜部など検察出身の高井弁護士は、いわば相手の手の内を知り尽くした立場。同紙に対し「日本の検察制度では、自白なしには(公判を)準備していけないのです」と付け加えた。

元の記事は、多分、これだと思います。

Horie 'will not fall on sword'
http://business.timesonline.co.uk/article/0,,13133-2177875.html

原文では、

Yasuyuki Takai said: “This is a complicated case and the prosecutors simply do not understand it fully. They expected Horie to confess, and now that he has denied all the charges completely the prosecutors are in serious trouble. The Japanese prosecutors’ system is not prepared for a case without a confession.”

となっていて、そのまま訳せば、上記のようになるのでしょう。
しかし、全面否認のまま起訴されて有罪になる被告人はいくらでもいますし、それで、いちいち深刻な困難に直面する、という話も聞きません。否認のまま起訴される事件では、自白以外の証拠から有罪に持ち込めるかが、起訴前、かなり慎重に検討されるのが検察庁における「常識」であり、自白事件が多いからと言って、そうでない事件で、検察庁が深刻な困難に直面する、と一概には言えないしょう。公判立会検事の力量等に無関係に、簡単に有罪になる「全面否認」事件も少なくないのが実状です。
元敏腕検事の高井弁護士の発言にしては、幼稚な印象は拭えず、取材したタイムズ紙の記者の無知、無理解が相当影響した記事ではないか、という印象を受けます。