布川事件:「有罪に消極論多かった」当時の検察事務官証言

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101113k0000m040112000c.html

茨城県警の調べに「自白」した桜井さん、杉山さんが否認に転じ、水戸地検はいったん処分保留とし強盗殺人罪の起訴を見送った。直後の67年12月に担当者が交代、新たな担当検察官に2人は「自白」し年末に起訴される。43年前の密室での取り調べに男性は立ち会った。
事件後の逃走手段や奪った金額など重要な点で2人の「自白」は食い違い、捜査は難航。否認する杉山さんに、検察官が「オレが承知できるわけないだろう」と怒鳴って机をたたいた時もあった。

起訴を見送った交代前の検察官の担当だった別の元事務官の70代男性は、当時の地検内部の判断を「有罪を勝ち取るのは難しい。消極論が多かった」と証言する。
80年代の第1次再審請求審で再び布川事件を担当。2人の無罪主張に「本当にやってないなら、なぜ言い通せなかったのか」と感じた。その疑問は今も解けない。

正に、自白の魔力、危険性を痛感させる記事ですね。
自白には、虚偽自白というものが確実に存在するものでありながら、
1 自白がある以上は犯人であろうという強い推定力が働き、捜査、公判を誤らせやすい
2 一旦、自白が生み出されると、裏付けが怠られがちになり、裏付けが取れなくても安易な辻褄合わせに走りやすい
3 自白というものは、虚偽であっても、一旦、自白してしまうとなかなか撤回しにくく、真実であるかのように巧妙に偽装されながら、虚偽の上に虚偽が積み重ねられやすい
という特徴があります。その一方で、自白により犯人でしか知り得ない真相が解明されることもあって、自白の証拠としての価値というものを軽視することができないのも、また事実です。
布川事件では、おそらく、無罪判決が宣告されることと思われますが、誤った裁判を生み出す原因となった自白の取り扱いは、今後、十分検証され、教訓として生かされなければならないでしょう。