包括規定で証券不正摘発 金融庁、罰則を強化

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抜かずの宝刀」といわれてきた証券取引法の包括的な不正禁止規定(157条)を積極活用し、機動的に摘発を進める方針を明らかにした。
証取法では風説の流布インサイダー取引などには個別に禁止規定が定められているが、法律のすき間を狙った投資手法が次々に登場し、規定整備が追いつかなくなってきたことが背景にある。

証券取引法157条は、こういう規定です。

第157条
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
1.有価証券の売買その他の取引又は有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等、外国市場証券先物取引等若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等について、不正の手段、計画又は技巧をすること。
2.有価証券の売買その他の取引又は有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等、外国市場証券先物取引等若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等について、重要な事項について虚偽の表示があり、又は誤解を生じさせないために必要な重要な事実の表示が欠けている文書その他の表示を使用して金銭その他の財産を取得すること。
3.有価証券の売買その他の取引又は有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等、外国市場証券先物取引等若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等を誘引する目的をもつて、虚偽の相場を利用すること。

特に問題があるのは、1項でしょう。「不正の手段、計画又は技巧をすること」という、非常に抽象的で曖昧模糊とした構成要件であり、何が「不正」なのか、これだけでは非常にわかりにくいと言えます。
最高裁の過去の判例では、「不正の手段、計画又は技巧」について、「有価証券の取引に関して、社会通念上不正と認められる一切の手段を言う」とされているものもあるようですが、不正は許されないとしても、予測可能性が担保されなければ、経済活動が萎縮し、日本経済にも多大な悪影響を与えかねません。
157条を積極適用する場合の、大きな課題と言えると思います。