経営陣の辞任で幕引きしたい東芝 最悪シナリオは上場廃止か

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150720-00000005-pseven-bus_all

2012年のオリンパス粉飾決算事件が記憶に新しいところだ。財テクの失敗などで膨らんだ損失約1000億円を海外の投資ファンドに移す「飛ばし」で簿外処理し、買収企業ののれん代(買収価格と買収企業の純資産の差額)を架空計上するなどして約1300億円を損失穴埋めに利用した事件。
金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で社長に懲役3年、執行猶予5年の判決が下るなど経営陣らが刑事責任を負った。

金商法違反(有価証券報告書虚偽記載)で個人の刑事責任が認められるためには、その個人に、有価証券報告書に記載された事項の「虚偽」性についての故意が認定される必要があります。しかし、東芝のような大会社で、最高幹部からの指示が、チャレンジしろ、といった、具体的に違法行為を指示するようなものではなく曖昧さが残るようなものであると、違法なことをしろとまでは指示していない、といった弁解をなかなか覆せず、起訴は難しいということになりがちです。報道では、証券取引等監視委員会が刑事事件としての告発、立件までは考えておらず行政処分としての課徴金納付で落とそうとしている、とのことですが、既に、どのような構造の下でこのような粉飾が行われたかについて情報を相当程度得ていて、告発、立件までは困難との見方を強めている可能性は高いでしょう。
ただ、素朴な国民感情や株主等の利害関係者の立場に立ってみると、これだけの巨額の粉飾が行われ、誰一人として刑事責任が問われない、というのは釈然としないものがあるのも事実で、結論を出す前に関係当局における厳正な調査が行われる必要があるでしょう。