名張事件第7次再審請求審 再審開始決定(要旨)

http://www5a.biglobe.ne.jp/~nabari/mokuji.htm

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http://www5a.biglobe.ne.jp/~nabari/

で紹介されていました。
決定に至った判断構造がよくわかり、参考になります。
私見では、使用された毒物が、確定判決認定の「ニッカリンT」であったことについて合理的な疑いが生じていることと、犯行の機会が確定判決認定の機会以外にもあり得たのではないかという合理的な疑いが生じていることが、この決定が出る上では決定的であると思います。
この事件では、被告人の自白した動機が、「妻と愛人を同時に殺害しようとしたこと」であったと言われていますが、そもそも、そういった動機のために、無関係な他の人々を一挙に毒殺するというのは、いかにも不自然、不合理であると、以前から繰り返し指摘されていました。自白の任意性や信用性に関する本で、そういった指摘を目にしたこともあります。
そういった不自然性、不合理性にも関わらず、犯人性が肯定されていた最大の根拠が、「この被告人以外に毒物を混入できる者はいなかった」という認定であったと言っても過言ではないと思いますが、今回の決定を見る限り、そこが崩れ、また、毒物の特定の部分も崩れててしまえば、決定(要旨)の冒頭で、「2 確定判決の有罪認定の根拠」として紹介されている確定判決の有罪認定構造が全面的に崩壊してしまった、と言っても過言ではないでしょう。