放火殺人:大阪地裁が母親らの再審決定…95年小6死亡

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120307k0000e040128000c.html?inb=yt

弁護側は1審の時から「違法な取り調べで自白調書を作成された」と主張。再審請求に当たり、専門家が実施した実験の鑑定書などを新証拠として提出し「車庫の車からガソリンが漏れ風呂釜の種火に引火した」と主張した。

車庫を再現して実験した。その結果、自白通りだと、ガソリンをまいている途中に風呂釜の種火に引火するため、ライターで着火するのは不可能▽引火後2〜4秒で火の海になるため、炎をまたいでやけどもせず外へ出ることはできない−−と指摘。自白内容は科学的に不合理で信用できないと主張した。
水島裁判長は再現実験に基づいて「確定判決の有罪認定に合理的な疑いが生じた。無罪を言い渡すべき明らかな証拠を発見した時に該当する」と判断し、再審開始を決定した。

過去の再審無罪事件でも、新たな鑑定結果に基づいて、事件の根幹部分に重大な疑問が生じ自白の信用性が否定される、というパターンのものがありましたが、本件では、特にその傾向が顕著であるということが言えるでしょう。
ガソリンは引火力が非常に強く、それだけに、それを利用して放火するということになると、急激に引火することで放火者にも多大な危険が及びかねなくなることは自明ですが、確定判決の基となった証拠の中には、再現実験に関するものはなかったのでしょうか。あったとしても、不十分なものであった可能性はあり、そこを徹底的に突くことが再審開始決定につながったのかもしれません。再審を勝ち取る手法として、今後の参考になるところが多そうです。
今後、大阪地検が即時抗告をするかどうかが注目されますが(その可能性は高いでしょう)、目が離せない事件、と思います。