異議審も再審開始認める 東電社員殺害で東京高裁

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201207310134.html

6月7日の4部の決定から2カ月弱という異例の速さでの結論。高検が特別抗告しなければ、裁判をやり直す再審が高裁で始まる。

6月の決定については、

マイナリ元被告を釈放、入管施設移送 東電社員殺害
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20120608#1339088888

で、

確定判決が、受刑者が犯行現場で被害者と性行為に及んだ後に殺害した、と認定していたのに対し、それが受刑者ではなく第三者ではないかという、少なくとも合理的な疑いが生じた以上、確定判決をもはや維持することはできない、と判断した決定には、無理なく、ごく自然に理解でき、うなずけるものを感じます。

とコメントしたのですが、解明されていない、もやもやとしたものを依然として抱えた事件ではあるものの、そういった、事件のコアの部分での「合理的な疑い」が解消されない以上、再審開始の要件を満たしている、と異議審でも判断されたということでしょう。手堅く、刑事裁判として正しい方向での判断という印象を受けるものがあります。
動かしがたい客観的な証拠の重要性や、そういった証拠を公判の中で顕出し、事実認定の誤りを防止することの必要不可欠性、さらには現行の証拠開示制度の限界や改革の必要性を指し示すもの、という点で、本件は、日本の刑事裁判史上、特筆すべきものになったと言えるでしょう。