弁護人の面会申入を拒否する検事(続々)

昨日、取り上げた話ですが、その後、改めて考えてみました。
弁護士では、徹頭徹尾「反検察」という人も少なくなく、私も、元は検事とは言え今は弁護士ですから、被疑者・被告人の利益を守るためには、必要に応じ、検察庁とは徹底的に対決する用意があります。
ただ、私の場合、検察庁が、その与えられた機能を十分発揮することが、真に罰せられるべき者の処罰、被害者の救済、犯罪の抑止などのため必要不可欠であるとも考えており、吹けば飛ぶような一弁護士にしか過ぎませんが、一応、「検察OB」として、今後の検察庁の動向は、世間の片隅から、厳しくも温かく見守りたいと考えています。
そういう立場から、敢えて苦言を呈すれば、「A検事」のように、かなりのキャリアがあり、組織内でも指導的な立場に立つべき人が、真面目に面会を求め、忙しければ夜10時でも11時でもいいですから、とまで言っている弁護人に、一切会おうとしない(後日談では、10分だけ会う、という話になったそうですが)というのは、検察庁という組織内の規律が、それだけ緩み、乱れているのではないかと、強く憂慮せざるを得ません。
裁判員制度導入により、刑事司法の在り方が相当変わる可能性が大きい中で、裁判所も、検察庁も、また弁護士も、従来の固定観念を捨て、新しい流れを的確に取り入れることが求められようとしていると思います。
そういった視点で、今回の件を見た場合、A検事は、そういった刑事司法の新しい流れにきちんと乗れて行けるのか、今後、検察庁の中堅幹部、さらに上層部へと昇進する中で、的確な指揮指導が行えるのか、と疑問に思ったことをお伝えして、この話題を取り上げるのは終えたいと思います。