NOVA:大阪地裁に会社更生法適用を申請 社長を解任

http://mainichi.jp/select/biz/news/20071026k0000e040009000c.html

NOVAは全教室の一時閉鎖を発表。生徒が前払いした受講料は約255億円(今年3月末)に上る。破産法制では受講料の返還について、講師、社員らの給与や金融機関などへの融資返済などに比べ優先順位が低いとされ、受講料の大半は返還されないとみられる。

遂に、来るべき時が来た、というのが、率直な印象ですね。この種の業態では、一旦、つまずくと、不安、不満等が連鎖的に広まり、継続が困難になるのではないか、と改めて思います。
これだけ巨額の受講料が返還されないことは大問題であり、今後、受講料の保証、保全制度や、破綻後における優先弁済受領を法的に認めることなど、何らかの改善策を講じることは避けて通れないのではないか、と感じます。

名古屋地検、容疑者を2日間不当勾留 検事を懲戒処分

http://www.asahi.com/national/update/1025/NGY200710250005.html?ref=rss

奥村弁護士のブログ経由で知りました。

男性は愛知県内で県警に同法違反の信号無視の容疑で現行犯逮捕され、無免許運転の容疑と併せて送検された。しかし同地検は昨年11月3日、逮捕事実ではない無免許運転の容疑で勾留請求し、裁判官も請求通り勾留状を発付したため、男性を同4日まで不当に勾留したという。
勾留に先行して逮捕手続きを取ることで二重に審査し、被疑者の人権保障などを図る「逮捕前置主義」の原則に反しており、同地検は不当勾留に気付いた同4日、男性を釈放した。

ある程度、刑事訴訟法を勉強した人であればわかることですが、上記の「逮捕前置主義」とともに、「事件単位の原則」というものがあって、「事件」(事実、と言い換えてもよいでしょう)ごとに、逮捕がまずあって、その上で勾留が行われることが必要です。ただ、複数の事実(例えば、A、Bとすると)があって、A事実について逮捕があり、その後、A事実にB事実を付加して勾留することは、A事実について、逮捕、勾留と2重の審査が行われているので、許される、とされています。
ただ、上記の記事にある事件の場合、A事実で逮捕され、送致の際にはB事実が付加されてA、Bとなり、勾留の際に、逮捕事実であったA事実が落ちてしまったようですが、それをやってしまうと、残ったB事実については、逮捕を経ず勾留されてしまうことになり、違法、となります。
通常は、こういった理屈は、検察官も裁判官も頭に入っているので、この種の過誤は起きないはずなのですが(逮捕事実、勾留事実を見る時に、注意して見るものです)、過誤というものは、起きてしまうときは起きてしまうものだ、ということでしょう。
それほど難しい理屈ではないので、やはり、検察官、裁判官が事実をよく見て注意するしかない、と思います。

青山ベロアで「YouTube感謝パーティー」、共同創設者も登壇

http://www.shibukei.com/headline/4743/

今回のイベントを主催したのは、ユーチューブ社を傘下に持つ米グーグルの日本法人「グーグル」(渋谷区桜丘町)。ユーチューブは今年6月より日本版サービスを開始しているが、同イベントでも独自コンテンツの重要性や著作権問題などについて「サイトポリシーに配慮した投稿を」と呼びかけていた。

グーグルにとって、YouTubeは、巨大なお荷物になって足を引っ張る存在になる危険性も抱えた、一種の爆弾のようなものでもあるのではないか、と思います。
特に、日本のような、権利者の力が非常に強く、利用者が脇に追いやられているような国で、適法性を維持しつつ、ビジネスとして成り立たせることができるかどうかには、楽観できないものがあるでしょう。
その辺をうまくクリアして、大きく育ってほしい、というのが、私の偽らざる気持ちですね。

《法廷から》プライド高き検事のつまずき

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/071027/trl0710271037000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/071027/trl0710271037000-n2.htm

検察側は、反対尋問ではかつての同僚を気遣うかのように「多くの検察官がこの事件を悲しく、寂しいと思っていることだけを理解してください」と諭しただけで、懲役2年を求刑した。被告は「被害者の方に対して、そして検察庁の方々に対して大変申し訳なく、情けなく思っています」と頭を下げた。

法廷で自分の弱さを包み隠さずさらけ出した被告には、検事として胸を張っていた時期よりも、人間の弱さがわかるはずだ。正しいプライドを持って、新たな仕事にあたってほしい。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070818#1187391205

でもコメントした、告訴取消書を偽造した元検事の公判に関する記事ですが、このような犯罪を生んだ背景、特に検察庁の組織としての問題点(事件数の増加に対応できていない、事件を抱えて苦しむ個々の検察官を適切にフォローできていない、体調が悪くても言い出せない等々)といったことに目を向けず、単に、その検事の個人的な問題、その検事が悪かっただけ、という捉え方しかできない記事で、底が浅くてつまならいな、と思いました。なぜ、公判検事が、上記のように「諭しただけで」さっさと公判を終わらせようとしているのか、といったことに目が向けられないような記者は、永遠に、検察庁等でもらってきた情報を、権力の広報機関であるかのように、その掌の上で無批判に書き続けるようなことしかできないでしょう。マスコミとしての、一種の自殺行為と言っても過言ではないと思います。頭の中から脳が取り出せるのであれば、一度、全部取り出して、どこかで点検でもしてもらったほうが良いでしょう。>こういう記事を書く記者
こういった記者や、そのような記者がいるマスコミには、たとえ取材の申し込みがあっても、忙しいのに馬鹿らしくて、何も話す気にはなれないですね。

目撃の男性「あれはリンチ」 力士死亡事件で証言

http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007102702059584.html

土俵では三人の力士が若い力士一人を囲み、投げ倒してけり、引き起こして殴るなどしていた。若い力士は砂だらけで「うわー」と悲鳴を上げていた。
時津風親方(57)=元小結双津竜、本名山本順一=は客席の最前列に座り、黙って見ていた。二−三分後、土俵の外にいた力士が「帰れ」と手ぶりしたため男性はけいこ場を離れて歩きだした。
すると別の力士が走り寄り「もうけいこは終わりましたから」と強い語気で言った。さらに、けいこ場から約五十メートルの名鉄モノレール成田山駅ホームから見下ろしている人に対しても「見てはいかん」と怒鳴った。

かなりリアルで迫真性のある目撃供述ですね。当然、警察もこの供述を把握しているはずであり、立証上、有力な証拠になることは確実でしょう。
それにしても、上記の加害「力士」らは、まげ、まわしをつけ力士の皮をかぶった野獣、と言っても過言ではなく、この事実関係であれば、そばで制止もせず黙って見ていた親分、ではなく親方も、共謀共同正犯としての責任が認定される可能性が高いと思います。

女性殺人事件が時効

http://www.stv.ne.jp/news/item/20071026081653/

事件は1992年10月に起きました。 札幌・中央区のマンションで土産物店のアルバイトをしていた会沢由季子さん(当時19歳)が腹や胸などを刺されて死亡しているのが見つかりました。警察はこれまで交友関係などを中心に捜査を進めてきましたが、事件解決には至らず、きょう午前0時に時効を迎えました。

北海道内の時効事件が目立つような気がして、本ブログのカテゴリ「時効警察」で検索したところ、今年に入って、既に4件、北海道内の殺人事件で時効が成立していて、上記の件で5件目になります。そのうち、札幌だけで3件あって、1992年は、札幌で殺人事件を犯すと、時効で逃げ切りやすかった年、と言えるかもしれません。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070518#1179414687
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070624#1182659024
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070812#1186889150
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070626#1182826151

北海道内で殺されると、犯人がつかまらず時効が成立し、警察は「残念でした」で終わりにし、被害者は殺され損で、被害者本人だけでなく遺族も浮かばれない、という、恐ろしい状態になっているような気がします。単なる杞憂であることを祈らずにはいられません。

日本刑法学会 2007年度東京部会

本日午前中から、市ヶ谷の法政大学で行われていて、現在、雨の中、やや寒々とした教室内で、東京地裁の合田悦三裁判官が、裁判員制度やその運用について、機関銃のように語るのを聞いているところです。
感想は、すべてのプログラムが終わった後に、若干、本ブログで述べておきたいと考えています。

追記:

プログラムの内容は(敬称略)、

午前中

講演 「司法制度改革と刑事司法」 松尾邦弘(前検事総長

午後

実行委員会企画 「刑事司法制度改革の現状と課題」 司会・伊東研祐(慶應義塾大学

1 「公的弁護制度(特に被疑者弁護)の実施状況と問題点・課題」 木下信行(東京弁護士会
2 「即決裁判手続と量刑の適正確保」 只木誠(中央大学
3 「裁判員に対する刑事裁判の基本原則、事件の争点、実体法上の法律概念等の情報伝達」 合田悦三(東京地方裁判所
4 「修復的司法の観点からみた裁判員制度被害者参加制度」 高橋則夫(早稲田大学

といったものでした。
松尾前検事総長の講演では、国の「かたち」の転換と刑事司法の役割の再構築、が強調されていて、そういった、あるべき国のかたち、姿に反するような犯罪に対しては、従来のように、形式犯だから、利得がないから(少ないから)、といった理由で寛刑に処すのではなく、実刑を含む厳しい処罰で臨むべきである、ということが強調されていました。
こういった松尾氏の考え方(おそらく、当分の間、検察庁内でも主流を占める可能性が高い)は、最近出た

市場と法

市場と法

でも紹介されていますが、今後の、特に経済犯罪、市場犯罪の摘発動向や量刑を見て行く上で、必ずわきまえておくべき要素であり、そのためには、とりあえず、上記の本を買って読んで手元に置いておく、ということが、お金もかからず(2000円余りで済み)、効果も期待できるように思いました。
午後の企画では、各論者からの講演の後、会場との間の質疑応答が行われ、台風接近のため予定よりも早めに切り上げられてしまったのは残念でしたが、日暮れて道遠し、といった感のある刑事司法制度改革の種々の問題点が具体的に指摘されていて、参考になりました。
特に、これは本当に大変なことだな、と感じたのは、裁判員制度でした。模擬裁判をやってみると、「裁判」ということ、それ自体をフォローできない裁判員が続出している、とのことで、死刑を含む重刑を宣告する可能性を常に持つ裁判に裁判員が関与した際に、どのようなことが起きるか、を考えると、かなり憂慮されるものがあるように思いました。裁判所は、しがない弁護士である私のように憂慮しているだけでは済まないので、かなり奮闘努力していることが、合田氏の講演からよくわかりました。

<紀元会>女性信者7人から任意で事情聴取 長野県警

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071027-00000043-mai-soci

暴行に加わったのは計30人になる見込みとなった。
調べによると、7人は先月24日午後11時半から25日未明にかけ、教団施設内で奥野さんに集団で暴行を加えて死亡させた疑いが持たれている。

かつての、街頭における大衆運動が華やかな頃には、多数の被疑者が検挙される傷害、傷害致死、殺人事件がありましたが、

東峰十字路事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E5%B3%B0%E5%8D%81%E5%AD%97%E8%B7%AF%E4%BA%8B%E4%BB%B6

そういった時代が過ぎた後としては、30名もの被疑者がいるこの種の事件は珍しく、かなり特異な事件と言えるように思います。
長野県警及び長野地検が、どこまで真相を解明し、この事件をまとめ切れるかが注目されます。

宇都宮地裁所長が所属裁判官審尋で質問、懲戒要求の動き

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071027-00000013-yom-soci

問題となったのは、同県日光市のホテルの破産事件で、今年2月21日に地裁で開かれた審尋。県弁護士会が出席した弁護士に聞いたところ、裁判官3人の合議体で行われた審尋に、園尾所長も「書記官の補助者」として出席し、裁判長の許可を得て債務者の資産などを質問したという。

先日、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070712#1184246233

とコメントした不祥事ですが、弁護士会が、その地の地裁所長の懲戒を高裁に求める、というのは、前代未聞であり、栃木県弁護士会としても、この不祥事を非常に深刻に考えている、ということでしょう。
確かに、こういった手法が不問に付されるようであれば、上記のエントリでもコメントしたように、所長が裁判官の隣に座っていて、「補助者」面して尋問してみるなど、いろいろな方法で、裁判官の独立した職権行使に干渉することが可能になってしまいます。問題になったら、「あれは補助者としてやりました」などと、抜け抜けと言って、それで済ませてしまう、というのは、やはり許されることではないでしょう。
このような事態にまでなった以上、司法官僚としての栄達の道は絶たれたも同然ですから、潔い身の処し方を考えたほうが良いでしょう。>宇都宮地裁所長
事態がここまでこじれるまで、放置していた最高裁判所の責任にも、看過しがたいものがあるのではないかと思いますが、今からでも遅くないので、一刻も早く所長に引導を渡してしまいましょう。>最高裁