名古屋地検、容疑者を2日間不当勾留 検事を懲戒処分

http://www.asahi.com/national/update/1025/NGY200710250005.html?ref=rss

奥村弁護士のブログ経由で知りました。

男性は愛知県内で県警に同法違反の信号無視の容疑で現行犯逮捕され、無免許運転の容疑と併せて送検された。しかし同地検は昨年11月3日、逮捕事実ではない無免許運転の容疑で勾留請求し、裁判官も請求通り勾留状を発付したため、男性を同4日まで不当に勾留したという。
勾留に先行して逮捕手続きを取ることで二重に審査し、被疑者の人権保障などを図る「逮捕前置主義」の原則に反しており、同地検は不当勾留に気付いた同4日、男性を釈放した。

ある程度、刑事訴訟法を勉強した人であればわかることですが、上記の「逮捕前置主義」とともに、「事件単位の原則」というものがあって、「事件」(事実、と言い換えてもよいでしょう)ごとに、逮捕がまずあって、その上で勾留が行われることが必要です。ただ、複数の事実(例えば、A、Bとすると)があって、A事実について逮捕があり、その後、A事実にB事実を付加して勾留することは、A事実について、逮捕、勾留と2重の審査が行われているので、許される、とされています。
ただ、上記の記事にある事件の場合、A事実で逮捕され、送致の際にはB事実が付加されてA、Bとなり、勾留の際に、逮捕事実であったA事実が落ちてしまったようですが、それをやってしまうと、残ったB事実については、逮捕を経ず勾留されてしまうことになり、違法、となります。
通常は、こういった理屈は、検察官も裁判官も頭に入っているので、この種の過誤は起きないはずなのですが(逮捕事実、勾留事実を見る時に、注意して見るものです)、過誤というものは、起きてしまうときは起きてしまうものだ、ということでしょう。
それほど難しい理屈ではないので、やはり、検察官、裁判官が事実をよく見て注意するしかない、と思います。