(若干のネタバレあり、注意)
昨日から公開されましたが、早速、観てきました。まず、受けた印象は、あれだけの大作を、通常より長めの上映時間になったとはいえ、よくぞ、ここまでまとめたな、ということでした。冒頭から、ジャンボ機墜落事故を描いていて、その後に、主人公の回想のような形で、会社から受けてきた理不尽な仕打ちの数々が、事故後の様子の中に織り交ぜられながら話が進みますが、この手法は成功していると感じました。渡辺謙の熱演が印象的で、傑作とまでは言えないものの、原作の良さがよく出た秀作、と言えるように感じました。
個人的な好みを含めて言えば、ジャンボ機墜落については、映画の中でもっと取り上げ、日本航空、ではなく国民航空の抱える問題、醜さが、未曾有の大事故という取り返しがつかない破局として一気に噴出してしまった、という、原作が描く劇的な側面が、もっと強調されてもよかったのではないか、という印象も受けました。
なお、重要な登場人物のところに、東京地検特捜部検事が、会社前までお迎えに来るシーンがありましたが、やってくる様子が警察的で、特捜部が被疑者、重要な参考人を呼び出す場合は、それが大会社の役員のような立場の人物である場合は、電話で丁重に呼び出すというのが普通でしょう。その辺は、やや違和感を感じましたが、作品そのものに影響するようなものではありませんでした。
結局、映画の中でも、再生の道半ばで改革を目指した人々が排除されてしまった日本航空、ではなく国民航空でしたが、現実に進んでいるモデルとなったほうの再建への模索を考えると、果たして再建できるのか、同じ問題を長年抱え続け自ら変わることができなかった企業が、本当に再建できるのかということについて、考え込まざるを得ませんでした。
近く、国民航空、ではなく日本航空の元客室乗務員の方2名と一緒に、この映画の鑑賞会(私は2度目ですが)をする予定で、改めてじっくりと観てみたいと考えています。