私が広島で高校球児だったのは昭和54年から昭和56年で、今では野球への関心もかなり低下しましたが、検察庁にいた当時は職場での野球に参加していたこともあり、2000年くらいまでは野球への関心にはかなり高いものがありました。清原、桑田、PL学園の活躍は今でも強く印象に残っていますし、それだけに、特に清原の、薬物事件やその後の零落ぶりは残念に思っていました。
本書では、栄光の座から滑り落ちた清原の姿を、周辺の人々の動きも交えながら追い、さらには遡って、あの有名なドラフト会議当時の両者の姿にも迫って、清原が抱え続けていたものは何だったかに迫ろうとしています。彼らの若い頃からの姿を目にしているだけに、しみじみと通読(オーディブルで聴いたので厳密には通聴ですが)しました。
感じたのは、清原には、若い頃から性格的な弱さ、依存性のようなものがあって、現役を引退し、周囲からどうしても人が離れていった後の身の処し方がうまくいかず、薬物に走ったのではないかということでした。私自身、仕事で、薬物に関わった人々は数多く見てきましたが、人としての弱さと薬物への誘惑が悪く噛み合ってしまったケースが少なくなかったように思います。
書いてあることが全て真実そのものではないとしても、登場する人々の姿にはいろいろと考えさせられるものがあり、私には印象に残る本でした。