東京地検公安部ヒラ検事から見た警察庁長官銃撃事件(1)

平成7年(1995年)3月に発生した警察庁長官銃撃事件から、今年で28年になる。

当時、私は、同年4月に名古屋地検から東京地検へ異動し、公安部に配属になった。3月末に発生した長官銃撃事件の直後で、公安部ではその捜査にも従事することになると覚悟しており、実際に、その一端に関与することになった。

私自身は、翌平成8年7月に公判部へ移り、公安部に在籍していたのは1年4か月弱で、ごくごく初期の長官銃撃事件の捜査の一端に関与していただけだが、そういう立場から見た事件を、備忘も兼ねて、何回かに分けて書いてみたい。

私自身は、4月初めに着任した後、着任日に発生した、警視庁赤坂警察署近くのマンション駐車場への、オウム真理教信者らによる建造物侵入事件の現場へ行ってくれと言われ、立会事務官と一緒に赤坂警察署へ行った、そこがスタートだった。

その事件は、マンションの中の一室にオウム真理教の拠点があり、その駐車場で、オウム真理教信者らが車から車へ荷物の積み替えを行っていたところ、不審者がいると通報され、現場へやってきた警察官に、一部が逮捕され、他は逃走したというものであった。逃げた信者の中に最高幹部の早川紀代秀もいた。後日、早川が最初に逮捕された容疑事実は、この建造物侵入事件だったはずである。

積み替えようとしていたものが、長官狙撃事件を捜査していた警視庁公安部が注目するものであった。

(続く)