既に個人となりましたが外務省の要職を歴任した吉野文六氏に対し、著者の佐藤優氏がインタビューし、かつ、種々の資料に基づく解説も付したもので、敗戦時及びその前後の、吉野氏が滞在していたベルリンの惨状などがリアルによくわかり、なかなかの読み応えがある本でした。
ソ連の侵攻を受けたドイツ、陥落したベルリンにいたドイツ人の被害は凄まじいもので、敗北をなかなか認めようとせずドイツ人をそこまで追い込んだヒトラーやナチスが、ドイツを愛する愛国者ではなく、単なる人殺し、ならず者の集団であったことを改めて強く感じるものがありました。
吉野氏も佐藤氏も、共に元外交官であり、外交実務についても端々で語られていて、その点でもなかなか興味深いものがあり、読んでおいて良かったと感じつつ読み終えました。