政府、即位礼合わせ恩赦実施=復権令・特別基準を施行(時事通信) - Yahoo!ニュース
国の慶弔事に合わせた恩赦は、天皇、皇后両陛下のご結婚以来26年ぶり。犯罪被害者重視の流れが強まっている上、国民の間では恩赦への抵抗感も強いため、政府は今回、恩赦の対象を平成の代替わりの時より絞り込んだ。
私は、昭和58年から昭和62年まで早稲田大学法学部に在籍し、その当時、中野次雄先生の刑法の講義を受講したことがありました。中野先生は、元大阪高裁長官でしたが、昭和20年代に法務省へ出向し、その際、恩赦法の立法にも関与したとのことで、終戦までの天皇の恩恵としての恩赦から、新憲法下での恩赦への転換がどうあるべきか、頭を悩ませた、といったことを言われていたことが思い出されます。
国にめでたいことがあったからと、やみくもに恩赦が行われては、犯罪被害者だけでなく国民全般の理解が得られないのは当然のことで、刑事責任が犯した犯罪に見合ったものであることを前提としつつ、刑事政策的観点から、恩赦による感銘力を利用しつつ、早期の社会復帰や再犯防止に役立つ、対象者だけでなく社会のためにもなる、そういう恩赦であるべきでしょう。
その意味で、今回の恩赦は、合理的な範囲内での、謙抑的なものという印象を受けますが、恩赦には、刑が重すぎたまま確定した受刑者の事後救済や冤罪である可能性が相当程度高い受刑者、元被告人の救済といった機能もあるべきであり、単に消極的に運用されるのではなく、必要に応じ積極的に運用される必要もあると思います。