岡口裁判官に「戒告処分」…ツイッター投稿めぐり、最高裁「国民の信頼損ねた」

岡口裁判官に「戒告処分」…ツイッター投稿めぐり、最高裁「国民の信頼損ねた」(弁護士ドットコム) - Yahoo!ニュース

岡口裁判官は、記事のURLとともに「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ? 3か月も放置しておきながら…」「裁判の結果は…」などと投稿。東京高裁の林道晴長官が7月、当事者の感情を害したとして、懲戒を申し立てていた。
決定によると、最高裁判所は、岡口裁判官のツイートについて「表面的かつ一方的な情報や理解のみに基づき予断をもって判断をするのではないかという疑念を国民に与えた」「当該原告の感情を傷つけるものであり、裁判官に対する国民の信頼を損ね、また裁判の公正を疑わせるものでもあるといわざるを得ない」と判断した。

 本件を見る際に重要なポイントは、記事にあるように「URLとともに」という点で、このようなツイートを見る通常人は、単にツイートの本文だけでなくリンク先も併せて読むものでしょう。

名誉毀損判例上、通常の能力を要する一般人の読み方を基準にすることが確立されていますが(本件のようなケースでもそこを基準にするのが妥当でしょう)、そのような読み方を前提とすると、本文は、「表面的かつ一方的な情報や理解のみに基づき予断をもって判断をするのではないかという疑念を国民に与え」るようなものではそもそもなく、本件の問題点を簡潔に紹介しつつ読み手をリンク先へと誘導する性質のものと見るべきです。「当該原告」がどのように感じたかよりも(それを言い始めれば原告、被告、当該裁判関係者がネガティブに感じるようなことは、裁判官は一切表現できなくなり判例評論も不可能になるでしょう)、あくまで一般人、一般国民がどう感じるようなものであったかを客観的に見る必要があり、「裁判官に対する国民の信頼を損ね、また裁判の公正を疑わせるもの」という最高裁の評価が全くの的外れであることは明らかだと思います。

SNS等で、このように、簡潔に紹介した上でリンクを張ることは、よく行われていますが、その際に、いちいち、深く掘り下げて当事者双方の主張に配慮した紹介文を、裁判官は付さなければ「国民の信頼を損ね、また裁判の公正を疑わせる」という、噴飯ものの判断であり、最高裁の汚点として長く歴史に残ることになったのは残念です。