私の実家は、旧広島4区のエリアにあり、首相の座にあった池田勇人氏の選挙区でもありました。池田首相を支え、宏池会の会長も務め、自身も首相になった大平正芳氏には、以前から強い関心も持っていて、本書も読んでみました。
大平氏の歩みや政治家としての軌跡、政治家としての考え方や目指していたものが丁寧に紹介されていて、読み応えがありましたし、参考になりました。
副題が「戦後保守とは何か」とありますが、大平氏が戦後の保守政治家として目指していたものは、日本国憲法の基本理念を尊重しつつ、人々が単に経済的にだけではなく、人として、日本という地において精神的にも豊かに暮らせる、そういう国家社会であったということを強く感じました。保守というと、敗戦前の全体主義的なものへと回帰しようとしがちな「保守」的なものとは明確に一線を引いていたことを改めて認識しました。
首相の座にあった期間が長くなく、政争の中、志半ばで倒れた、その最期が返す返すも残念に思います。