Google検索で特定のキーワードを検索した人物を履歴から探す捜査手法に「憲法違反」との異義 - GIGAZINE
警察は、「逆キーワード検索」と呼ばれる手法を用いて、「燃やされた家の住所」をGoogle検索した人物を探し出すことにしました。
逆キーワード検索とは、検索エンジンで行われた膨大な検索履歴の中から「特定のキーワード」を検索した履歴を探すというものです。2020年11月に裁判所は逆キーワード検索の令状を発行し、警察はGoogleに対して「事件発生の15日前から当日にかけて、家の住所を検索した人物のデータ」を提出するように要求。Googleはこれに応じて、61のクエリに関する情報をIPアドレス付きで提出し、捜査員はこのクエリの一部に着目してさらなる情報提供をGoogleに求め、犯人グループのうちの1人にたどり着いたとのこと。そこからSnapchatやFacebook、InstagramといったSNSやメッセージアプリの活動を調べ、証拠を集めていったと報じられています。
警察当局が、こういった捜査手法を採りたいと考えること自体はわかりますが、日本の刑事手続で可能かどうか考えた場合、かなり難しく、検索エンジン側の積極的な協力がないと無理でしょう。
日本の刑事訴訟法上は、「差押」か「検証」によることになるはずですが、差押は、既に存在するもの(この場合はデータ)を押さえることが想定されていて、上記のような手法でやるとなると、検索エンジン側に、こういう情報を出してくれと依頼しておき、出てきた情報を差し押さえることになります。しかし、そういう協力は、現実的には得にくいでしょう。
検証でやるとしても、検索エンジンの内部のシステムに入り込んで、情報を積極的に得ていくことになり、五感の作用で事物の状態を確認していくという検証の本来の在り方からは逸脱しています。また、検索エンジン側の協力がないと作業自体が無理と思われますが、そういう協力を得るのも現実的には無理でしょう。
アメリカの裁判所が出した「逆キーワード検索の令状」が、そういう令状なのかわかりませんが、日本では、現行法令上、このような令状は出せないのではないかと思います。
今後、そういった令状が出せるとという刑訴法の改正が行われた場合、日本でも、プライバシー権の侵害、といった憲法上の問題が議論されることは確実だとも思います。